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古布 見本帖

着物や和雑貨のブームで、人気の古裂(こぎれ)。
以下、ご紹介しますのは、かつて、実際に呉服店や織物工場で布の「見本帖」として使われていたものです。
いってみれば、当時、店や織物工場が主力商品として力を入れていた代表格といえそう。
おそらく非売品だったもの。年代は、大正末から昭和はじめのものと思われます。


品切れ  あらた 大正末
7000円
C 経年相応のイタミ 大正14年二月の年号書き込み
当時、京都市で所有していた人の記名

大正時代に京都織物商同盟会によって作られた布見本帖。11店の商店の名前が入っています。
第一号から百四十三号まで。143色の布が実際にとじこまれた見本帖です。
?百合、深山しぐれ、むつび紫、深楓、黒百合…
「巻頭発表の基調色は京都高等工芸学校長工学博士弦巻鶴一氏の選定し且命名されたものである。
今秋の流行に発足して更に将来の染色もこの選定により産れ出づべく信ぜられる何となれば
色彩の性質が質実にして温潤正ささに我國民風俗の向ふところに一致して居るからである。
殊に京都織物商同盟会が之に協賛せるに依りて。我染色界共通の色彩にして
個々商店の独自的宣伝色と自ら選を異にするに於てこの五点の一層権威あるを認めねばなるまい」
「中を見る」の画像ですと布の質感は平坦・単調に見えるかもしれませんが、
実際の布は織りが繊細、色はきめこまやかです。

クロス装。サイズ天地 29.6センチ×左右 16センチ

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品切れ 鴨川
8000円
C 経年相応のイタミ 表紙書き込み 呉服店のシール
「ぼかしぬい」「けしぬい」などの書き込みあり 1点、紙のはがれあと

第一号から三十三号まで、33点の布がとじこまれた見本帖。
ツバメが舞う柄、小花柄などなど、いずれも愛らしいこと、この上なしです。
大正ごろのものと思われますが、当時これほどモダンな柄を身に着けていたなんて。
布地そのものを目にし、手にとってみていただきたい。当時の人は、どんな色のものをあわせたのでしょう。
和雑貨を作ったら素敵だろうな、ワンピースにしてもいいなと想像がふくらみます。
裏表紙はありません。最初からなかったのかどうか、はずれた形跡は見あたりません。

クロス装。サイズ天地 29.3センチ×左右 14.7センチ

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品切れ 行秋
6000円
C 経年相応のイタミ 最終ページに大呉服店「**部専用」の書き込み シミ

表紙を開くと「最新流行 大呉服店専用」の文字が。
最終ページに京都市錦小路通りにあった商店の名前や連絡先が印刷されています。
第一号から九十三号まで93枚の布がとじこまれた大型の見本帖。

クロス装。サイズ天地 19.1センチ×左右 27.3センチ

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品切れ
4000円
C 経年相応のイタミ

表紙を開くと、池か沼に鳥が舞う絵柄が金で描かれています。
布は、第三十一号から第六十号までの60点がはりこまれています。
布まわりの飾りケイがきれいです。
裏面に「伊藤深方」の金文字。

クロス装。サイズ天地 22.5センチ×左右 10.5センチ

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ノーブル コート地
足利箕仙織物工場
9000円
C 経年相応のイタミ 布1点欠

"NEW FASHION SAMPLE"のコート布地。
「本品ハ染色堅牢ニシテ且ツ完全ナル防水加工ヲホドコシテ有リマスカラ
雨雪ノ際御召ニ成テモ絶対御心配アリマセン 製造発売元」
(本品は染色堅牢にして、かつ完全なる防水加工をほどこしてありますから、
雨雪の際お召しになっても絶対御心配ありません 製造発売元)
と、頼もしい説明文が入っています。
コートの布地は、No.1からNo.20まで。No.13が1点はがれて欠けています。
19点のすばらしい布地が貼り付けられています。
どこかでこの手の織物を見たような気がしたなと思ったら、ロンドンで買った
アンティークのコートの布地と似ているように思いました。
1点1点が豪華で、1点1点が手の込んだみごとな"作品"のようです。
「中を見る」の画像では凹凸の立体感が伝わりにくいかもしれませんが、ご関心がある方、質感をご想像ください。
大正後半から昭和初期のものかと思われます。

クロス装。サイズ天地 14.2センチ×左右 23.2センチ

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